博多皿うどん発祥物語

はじめに「食」の哲学ありき。
「三里四方の食材を使え」という料理の基本を伝える言葉があります。冷蔵・冷凍技術の発展で、いまや死語かというと、これがそうでもありません。それは、作られた料理を食べる場所も問題になるから。
料理は、湿度や温度といった土地の気候に合致した味つけがなされているのだから。

本場の味は、本場で食べなければ意味がないということ。中国料理も同様ですが、福建料理を食べさせる福新樓の位置する福岡は、ちょうど中国・福建省の気候と同じで、本場の味が約束されています。福建料理の特徴としては、薄口醤油よりも透明度の高い白醤油を使うこと、新鮮な海の幸をふんだんに使用すること、中華の多くが素材を油通しするのと違い、代わりに湯通しすることなどが上げられ、中国料理のなかでも淡白な味で、日本人の舌に合っているといわれています。
福新樓のいう「本物の味の追求」とは、そんな「食」に対する哲学が根底にあります。

福建炒麺の特徴は「揚げる、煮込む、炒める」

中華テクニックの7割を占める「福建炒麺」誕生す。
「皿うどん」といえば、中国料理の定番として庶民にも親しみがあるが、この料理が福新樓で考案されたことをご存じですか。福新樓での正式名称は「福建炒麺」。昭和初期に福新樓二代目・張兆順がはじめて作ったものですが、日もちのしない生麺を煎めることで、麺は熟成し、味の深みを増します。海面状になった麺にスープが染み込み、濃厚な味を作り出します。

福建炒麺の特徴は「揚げる、煮込む、炒める」という中華の料理法の7割を占める過程が同居しているところ。言い換えれば、これを完全に作れれば、中国料理のテクニックの7割をマスターしたことになります。福新樓の従業員食堂では、福建炒麺が毎日メニューとして出ますが、厨房の若い料理人が作ります。ベテラン社員や同じ料理人達が食べ、その味は当然、評価の対象となります。若手は、毎日毎日何度も中華鍋をふり、この皿うどんに挑んでいます。

時代を超えた普遍性をもつ味への挑戦が続く。
4人の料理人がいれば、4つの味ができる。料理は生きている、といわれる所処。「偉大なるマンネリ」と呼んでもいいほどに、若手が福建炒麺を作り続けるのは、福新樓の味を完全に伝授させるためです。工夫して、苦心の末に考案された味に普遍性を与えるために、福新樓の厨房では、そうした努力が続けられています。

福新樓つねに本物の味、最高の味を追い求めていたいと考えています。
それだけを願うかたくなまでの姿勢が、110年という歴史を支えてきたのです。

ホンモノを提供するために素材へのこだわりは続く。
他のメニューづくりにしても、福新樓では本物の味にこだわり続けています。豚の角煮として知られる東坡扣肉(トンポウコウロウ)はそもそも体毛のついた豚肉で皮に厚い脂肪がなければ本物とは呼べません。保健所などの指導でそういった豚肉が手に入らないいま、福新樓では台湾から肉を輸入。「三里四方の食材」という思想から逸脱することですが、トンポウコウロウとメニューを掲載している以上は、本物にこだわるのが福新樓の考え方です。

福建炒麺に使う生麺にしても同様で、福新樓の仕様で特別に発注。福新樓では決して手を抜かない味づくりを心がけています。この姿勢だけは永遠に不変のものです。1,050円(税別)の「福建炒麺」(福新樓特製皿うどん)には、福新樓の味へのこだわりと思いがひそんでいます。

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