2015.12.19 熊の掌

 中国料理に数多くある珍貴な料理の中でも、熊の掌は皆様ご存知であると思います。後述の様な大皿の上に手首から先の熊の掌がドンと盛られ、飾り付けられた写真をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか?

 この熊の掌、調理に相当の日数(1週間程度)がかかる為、その時間にちなんだ多数の逸話があることでも有名です。

 むかし、中国では罪を犯して死刑を執行する際には、死刑囚の願いを叶えてやる習慣がありました。戦国時代、弟の反逆に遭い戦に敗れ捕らわれた斉の成王は、最後の望みを聞かれた時「この世の名残に熊の掌を食べさせてくれ」と願い出ました。熊の掌の料理は日数がかかるため、王は時間をかせぎ援軍の到来を期待してこの最後の望みを口にしたとの事。その結果は知るよしもありませんが……

 暴君で名高い殷の紂王は、熊の掌の料理がうまくできなかった責任を問い、料理長の首を刎ねたという話。

 2500年前の楚の咸帯は臨終の際に「おお余は熊の掌が食べたい」といい残し、残念そうに息をひきとった…などの逸話です。

 余談ですが、俗に熊の掌は、右と左では値段に差があるとも言われています。
熊は左手で植物を掴み、蜂の巣を叩き壊しては蜂蜜をなめる。また、冬眠中はその掌から栄養を補給する。だから掌には栄養が染み込んでいるという説に基づきます。
 左利きの筆者としては、それは右利きの人の説であり、科学的根拠に欠けるのではないかと思いますが…

 また、きれいな状態(爪はついたままで全て残り、毛は残らず処理がなされ、それでいて美味しい状態)に仕上げるには、時間以外に高度の技術を要することでも知られる料理です。
  
 料理法としては、
紅焼熊掌=熊の掌の醤油煮込み。
烩熊掌=ほぐし身、椎茸、筍の細切りのスープ。
等があります。
また、熊の爪は魔除けになるといわれています。食べる機会に恵まれましたら、持って帰ってペンダントなどにされるとよいかと思います。

この熊の掌ですが、福新楼では、事前にご相談を頂ければご用意することが可能です。
ただし、受注発注の上、容易に手に入る食材ではありませんので、調理と合わせ、それなりにお時間がかかることをご了承ください。

最後に、以前当店で勉強を兼ねて調理しました紅焼熊掌=熊の掌の醤油煮込みの写真を掲載いたします。
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