2016.04.29 鯉の話

 中国料理において、鯉は結婚、出産祝いなどのおめでたいときや、物事が成就した時など、お祝いの席の献立に用いられることが多い魚です。

 
 ご存知の通り、鯉はコイ科の淡水産硬骨魚で口辺に二本の髭があるのが特徴です。
また、鱗が一列三十六枚あることから、三十六鱗とも六々魚ともいわれます。「六六変じて九九鱗となる」九九鱗は龍の鱗が八十一ある伝説から、このようなエピソードもあります。

 
 古来、中国には龍門と呼ばれる地名が多数あります。なかでも黄河の龍門は有名です。

 
 黄河の源は崑崙に発し積石山を経て龍門に至ります。
昔この龍門と呼ばれる地には大きな山があり、黄河の流れを阻んでいました。
夏の国の禹王のとき、山を切り開いて河筋をつくり、流れを引き入れる工事が行われましたが、河幅がせまく流れが激しく滝のようになってしまいました。
そこでその流れの激しさゆえに、この峡谷を龍門と呼ぶようになったそうです。

  陽春のころ、黄河の鯉はこの急流を遡行して龍門をとび越え上流にのぼろうとします。この龍門をみごと乗り越え、上流に上った鯉は龍になり天に昇ると伝えられ、鯉の強鞭さ、強い生命力そして龍になる憧憬から人間に不老長寿、立身出世をかなえてくれる力があるとされ、鯉がお祝いの席の献立に使われるようになりました。

 
 ちなみに、むずかしい試験などを通ることを「登竜門をパスした」という表現がありますが、ここ黄河の龍門がその語源です。

 
 また、鯉はその栄養価の側面からもなるほど、お祝いの席に用いるのにふさわしい食材です。良質なたんぱく質に加え、魚介類のなかではビタミンB1の含有量はトップクラスです。

 日本でも古来より、昔から産婦の乳の出をよくする、目を守るなどと言われ食べられてきました。

 中国料理では、鯉を丸揚げして甘酢あんをかけた「糖醋鯉魚」醤油で煮込んだ「紅焼鯉魚」などの料理が有名です。